旅するランナー

マルケータ・ラザロヴァーの旅するランナーのレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
3.8
【チェコ映画史上最高傑作】

制作約10年、かつてない規模の予算をかけ極寒の⼭奥で⽣活しながら548⽇間にもわたる撮影を⾏った、⼆度と作ることのできない空前の超⼤作。
公開から55年の時を経て⽇本初劇場公開となる。
1998年にはチェコ・スロヴァキアの映画批評家とジャーナリストによる投票で史上最高の映画に選ばれている。
という宣伝文句に、見なくちゃ!ってなります。

13世紀半ば、ボヘミア王国での戦いの物語を、時に壮大に、時に内面的に描き出します。
カメラアングルには、おっ!と思います。
修道女の祈りと、ボレスラフ監獄襲撃を重ねるあたりは、素晴らしい演出です。
マルケータの最後の決断は、無宗教が多数派を占めるチェコらしいと思いました。

確かにキューブリックの「バリー・リンドン」を思わせる、凝りようなんですけど、正直、やっぱり退屈です。
この物語を知っていないと、何だかよく分かりません。
結局、チェコ人の、チェコ人による、チェコ人のための映画ですね。

ちなみに、1998年の投票結果は、以下のようになっています。
<1998 poll of 55 Czech and Slovak film critics and publicists>
1.マルケータ・ラザロヴァー (1967):フランチシェク・ヴラーチル
2.大通りの店 (1965):ヤン・カダール&エルマル・クロス
3.すべての私の同胞(1968):ヴォイチェフ・ヤスニー
4.火事だよ!カワイ子ちゃんThe Firemen's Ball (1967):ミロス・フォアマン
5.インティメイト・ライティング(1965):イヴァン・パッセル

4位になっている、フォアマン作は観たことあります。
残りの作品も是非見たいです。