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モーゼとアロン
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『モーゼとアロン』に投稿された感想・評価

思想とイメージとの乖離。
ジャン=マリー・ストローブ&ダニエル・ユイレ。
旧約聖書の出エジプト記に題材に採った、アーノルト・シェーンベルクの歌劇を映画化した作品である。

目に見えない神を、その儘言葉のみで理念として布教するモーセと、民衆へ神をイメージし易い金の子牛像(形式)を示すアロンの物語。
三部構成から成っており、第一部ではアロンとの出会いから布教へ至る道程を、第二部ではモーセ、ひいてはその信奉する神へのアロンの反駁を、第三部ではその暫く後の二人が描かれる。

本作の主題となるのは、“神(想念)は語り得るものであり、他者へ伝えられる物なのか否か”であろう。
原始ユダヤ教の布教に於いても活動は言葉や文字(形式)を以て為された事は想像に難くない。
では、この“遍く存在する神や想念を、言葉は正しく現しているのか?”“そうで無いならば、何故形式であると云う点で言葉と同じである金の子牛像は破壊され、それを信奉した民は虐殺されたのだ?”、とシェーンベルクは問うのである。
途中挟まれる何故か不揃いなダンスが、神や理念への一糸乱れぬ統率から、偶像崇拝を経て個人主義へと走った民衆を表す、とするのは些か我田引水に過ぎようか。

全編に渡りキレの有るショットが見られる作品であるが、やや煽り気味のバストショットと俯瞰からのパンフォーカスが特筆に値する。
歌劇を屋外で演じている事に由る環境音も録音されているが、舞台となる乾き、赤茶けた地面と共に旧約聖書の世界観を上手く表している様に思われる。

第三幕は短く、モーセのアロンへの侮蔑の言葉も空しい儘、唐突に終わる。
私にはそれはまるで、モーセの諦念が表されているかの様に感得されるのである。
屋外オペラとか言うパワーワード。スタジオ内で録られた伴奏と同時録音の歌声が同期され、全くもって意味不明な切り返しとパンで豪華な歌唱劇を紡いでいく。
画面に亀裂が生じたようにしか見えない蛇、生というより性の象徴である黄金像(牛!)を捉えた絶妙なフレーミングに酔う。蛮族の生贄ダンス、アケルマンみたいな夜景も最高。ラストの構図が吸い込まれるくらい美しい…。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.8
「モーゼとアロン」

冒頭、男性の後頭部のショット。合唱、神、蛇、杖、指導者、大勢の女性、下僕、屈服、回転するカメラ、自然と山々と空。荒涼の地、歌。今、思想との対立が映される…本作はアーノルト・シェーンベルク作曲により3幕の歌劇、ミヒャエル・ギーレン指揮によるオーストラリア放送交響楽団、オーストラリア放送合唱団、そして合唱指揮ゴットフリート・プラインファルク、監督自身の監修したオリジナルマスター仕様で、この度DVDを購入して初鑑賞したが傑作である。

20世紀を代表するみ未完のオペラを完璧に映画化した1本で、これは必見である間違いなく。

監督、脚本、編集を担当したのはダニエル・ユイレとジャン=マリー・ストローブである。本作は1974年と75年に製作された独、仏合作映画である。どうやら本作は20世紀を代表するシェーンベルクの未完の歌劇を彼の誕生100年にあたる1974年にストローブ=ユイレが映画化したもので、旧約聖書(出エジプト記)に想を得たこの歌劇の台本はシェーンベルク自身によって描かれているそうだ。

また、モーゼとアロンの政治的対立の最も劇的な挿話を借りた一種の思想劇になる様だ。第3幕の作曲は未完に終わって上映の際は、ごく短い第3幕はセリフが朗読されるが、この映画でも第3幕までが演じられている。


流れを簡単に説明すると以下のようになる。

本作は、冒頭に女性の声で物語が説明される(この時の描写は楽譜である)。そして第1幕情景1モーゼを召す喚び声とタイトルが現れる。そして1人の男の後頭部のクローズアップが始まる。そのアップは5分ほど続き、カメラが次に捉えるのは山々の光景である。そしてカメラは徐々に空を映して何回転も回る(この時、合唱が続けられる)。

そして第2場 モーゼは荒野でアロンに出会う



そこには2人の男性が立って対面しながら会話をする。情景3になり、女性と男性が歌い始める描写へ。

第3場 モーゼとアロンは神の福音を人々に告げる

ここでは僧と女たちによる合唱、男と若い男、もう1人の男とアロンとモーゼが歌い出す。

第4場が終わり、第2幕の第1場 アロンと70人の長老たちが、啓示の下る山のふもとにいる

そこでは70人の長老たち、そして第1の長老、第2の長老、第3の長老と僧が歌う。

第2場 合唱に入る。
ここでは画面転換され始める。

第3場 黄金の仔牛と祭壇

ここではアロンと病人、男女の物乞たち、老人たち、エフライム、若い男の合唱と歌が始まる。

そして第4場が流れ、第5場 モーゼとアロンに変わる。

第3幕 第1場

ここでは兵士たちに加え、モーゼとアロンの歌が始まり帰結へと向かう。

以上。


この映画を観て画期的だなぁと思ったのは、もちろん自分はオペラ映画に詳しくはないが、基本的にオペラと言うのは室内劇である事は誰しもがわかると思うのだが、この作品はそうではない。室内と言う空間の概念をとっぱらって、イタリアの古代ローマ式野外劇場でのロケーション撮影になっている。そういった物語の歴史性を意識させることに成功した画期的な映画だと言える。



それに加え、ストローブ=ユイレ映画を何本も連続で見てきたので、関連性が分かった今では新鮮さをあまり感じないが、全て同時録音を鉄則にしているのも凄いと思う。

それにしてもよくよく考えてみるとオーケストラ演奏はスタジオ録音されているはずなのだが、実際に歌手たちが野外でスピーカーから流れる音に合わせてライブ合唱していると考えると、なかなか興味深くて面白い。結構、異様な状態だと思うもし、メイキング映像とかがあるのであれば…。


よって、色々と苦労した音響効果も場面もあるが、スタジオとは逆に、自然の音もうまく取り入れられた点は良かったのかなとは思う。それに幕によってはワンカットで通しているし、キャスト同士の迫力ある演技合戦、歌、合唱、円形劇場とは違った視点も非常に良くて素晴らしい。この映画は非常に大胆な試みをしていると思う。

実際はカットも少なく、ほとんどが長回しもしくはワンカットを固定カメラで動かない被写体、動く被写体を捉えるだけ。

画面構成的にも緊張感があるフォーカスで考え抜かれているので、映像としてはすごくかっこいいものになっている。とりわけ、もしこのような作品をイタリアの異端児パゾリーニが監督していたらもっとドラマ性に満ちていたと思うが、ストローブ=ユイレのようなシェーンベルク解釈にはまずたどり着けないだろう(個人の意見)。

ただ、個人的に思うのが、オペラ映画と言う題材をテーマにしているのだが、どちらかと言うとモーゼとアロンの関係をめぐっての対立的な立場を強く捉えているような感じもしなくは無い。

最後に、この映画はいわゆる神の存在をめぐる音楽と言葉の対立を描いているものなのだが、それはイデオロギーをめぐることになり、深く言及するのはあまり良くないと思うので、ここで終りにするが、このモーゼとアロンの葛藤を中心にドラマが展開する。

この作品は見て損は無いが、非常に退屈である。100分前後ある上映時間だが非常に長く感じた。