舞台は四畳半と狭いけれど、その中で大正時代を浮かび上がらせていく演出が圧巻。そして男女はひたすらエロいことをやりたいのに、時代はそんなことを許してはくれずただ翻弄されるのみ。それを悲劇と喜劇をない交ぜにして見事に体現する粟津號と丘奈保美の素晴らしさよ。
神代辰巳監督の「ぐにゃぐにゃ」として軟体的な作風がしょうもないエロ事情から人間のどうしようもなさと業を引き出し、単なるポルノを越えた芸術映画に昇華させる手腕は神代監督の作風が苦手な私でも認めざるを得ない。でも低温な語り口はやはりダメで何度か寝落ちしそうになったけどね。