みーちゃん

オキュラス 怨霊鏡のみーちゃんのレビュー・感想・評価

オキュラス 怨霊鏡(2013年製作の映画)
4.5
私的にはガツン!ときた。予想を超えて、マイク・フラナガン監督にやられた。流儀を感じる、怖くて品格のある作品。

ストーリーが複雑な訳ではないから、筋立てはこうだろうなとか、姉は強気だし、準備万端だし、姉弟で力を合わせて怨霊と対峙するんだろうなって、普通に予想してたら全く違った。そんな考えは甘かった。

◇ここから本編に触れます◇

私はケイリーが複数台設置したビデオカメラに、何かしらの超常現象が記録されるだろうと安易に信じ込んでいた。まさか、この根底が裏切られるだけでなく、皮肉にも逆手に取られるとは。

時間軸も、ラッセル家の現在と過去が交錯するだけでなく、そこにアンティーク鏡が映し出してきた4世紀分の歴史のイメージが加わり、重厚で立体的な世界観に浸ることができた。特に大人の彼らと、子供の彼らが、同じ空間に、同時に存在するショットが素晴らしく、あの日、あの家で、一体何が起きたのか、彼らが再認識するのと一緒に観客にも目撃させる手法に魅了された。

しかも絶望だけでなく、父と母の最期には、ちゃんと救いがあった。お姉ちゃんの目には、子供心に、あの瞬間が焼き付いていたから、こんなに強い信念を持ち続けることができたのか!

ラスト。当事者にしか分からない主観的な事実と、それを証明できる者はもう誰もいない、立証できる方法も何も無い、という客観的な事実。このバランスが、どちらにも寄らず、均衡が保たれている事に驚いた。あんなに凄いことが起きたのに、扇情的な要素が排除されているのだ。

だから全てが終わった時、自分の感情をどこに置けばいいのか、すぐには言葉が見つからなかった。