ほ

6才のボクが、大人になるまで。のほのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

実写映画にしかない説得力を持った作品。

一緒に遊んでくれて、同じ目線で話してくれるけどクズな実父。優しく、厳しいけれど弱さを持った母。モラハラ再婚男。保守的再々婚男。内向的で繊細なメイソン。他のみんなと似たように少しヤンチャだったけど、すっかり大人しくなってしまった姉。それぞれのキャラクターが魅力的で、見せ方もいやらしくなく、うまさがあった。

友人の兄(イケてない)にマウント取られるシーンはなんとも言えない趣深さがあった。イキってるけど、きっとこいつらもモテないんだろうな、と。それでも大人の世界の入り口を示す人たちで、少年たちは少し憧れたり、逆らえない気持ちになったりするんだろうな、とか。

保守的再々婚男は、母の優秀さや逞しさに押しつぶされて酒に逃げてしまった弱い人間なのか。軍隊の時の話をしているマッチョさと、その裏に見える臆病さ。母との生活でその繊細なプライドが傷つけられたのか。

シーナはきっと好奇心が強いだけなんだろうな、人と違うメイソンに惹かれたけれど、メイソンは社会のマジョリティの考えに反する時があって、きっとそこに少し疲れてしまって、また違う刺激を求めてラクロス野郎の元へ。メイソンは彼女のことが好きだったんだろうけど、楽しませることを第一には考えてなくて、シーナはただ単に恋人同士の楽しみが欲しかったんだろうな、とか。それを全部わかった風に語る親父はよかったけど、お前に何がわかんだよと言わんばかりのまだ彼女への気持ちを捨てられてないメイソンの目線もよかった。実際、彼女は悪くない。ただ、親父が言いたかったのは、お前のことをもっとわかってくれる奴は他にいるってことだったんだろう。

そして大学に入って、ハイキングをした女性と仲良くなるが、その彼女と話す。ふたりの息はぴったりのように見える。感じていたことがわかるかのように。お互いを見て、最後に目があって、「終われ!」と思わず唱えたところで見事エンド。ハイセンス。

基本的には素朴で平凡な日常だけれど、それが呆気なく奪われてしまう出来事や、反対に日常に潜むうつくしさが込められていてとても好みだった。
ほ