EDDIE

ショート・タームのEDDIEのレビュー・感想・評価

ショート・ターム(2013年製作の映画)
4.0
“自分の問題”と向き合う覚悟、人と分かち合う覚悟。さらけ出すのは簡単じゃない。だけど人生は長い。悩みを打ち明けられない子供たちと短期保護施設のスタッフの心と体の交流を丁寧に描く。

相変わらずブリー・ラーソンの演技力が凄い。あんなに機微に触れる演技はなかなかできるものではありませんよね。ブリー演じるグレイスは保護施設で働くスタッフとして、子供たちの細かな変化から察する能力が非常に高いわけです。

この作品はオープニングとエンディングまで彼女たちの日常をただ淡々と映しているだけです。もちろんその間に様々な問題が起きるわけですが、映画的に物凄い大展開が待っているかというとそうでもありません。
だけど最初と最後で彼女たちを見る目が大きく変わっている自分がいます。

オープニングとエンドクレジット前の映像は同じような演出です。だけども彼女らの心境の変化により全く違う映像に見えてきます。

まだ『ボヘミアンラプソディ』でブレイクする前のラミ・マレックもネイト役として出演していますが、保護施設に途中から入ってくる少女ジェイデンを演じるケイトリン・デバーがとてつもない存在感を示していましたね。この子『ビューティフル・ボーイ』に出てたティモシー・シャラメの相手役の子だったんですね!

ブリー演じるグレイスはワケありな過去を背負っているわけですが、このグレイスと対比的な存在となっているのがこのジェイデンなわけですね。
ある意味似たもの同士というか、グレイスはだからこそ彼女の気持ちにもSOSにも気付くんですよね。

あとはマーカス役のラキース・スタンフィールドも印象的でした。ジョン・ギャラガーJr.演じるグレイスの恋人メイソンの前で自身の気持ちをさらけ出しラップで表現するシーンは、リリックがあまりにも生々しくかなり重苦しい気持ちになってしまいました。

監督はダスティン・ダニエル・クレットン。『ガラスの城の約束』でブリーと再タッグを組み、勝ち目のない冤罪事件に挑んだ弁護士の実話『黒い司法』でもブリーを起用。かなりブリーお気に入りのようですね。ちなみに『黒い司法』は私の上半期ベスト3に入った傑作。個人的にこの監督とは相性が良さそうなので、今後も注目して見ていこうと思います。

※2020年自宅鑑賞215本目
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