マルケス

ショート・タームのマルケスのレビュー・感想・評価

ショート・ターム(2013年製作の映画)
4.0
これは刺さった。印象深いシーンがたくさんあった。心の揺れを繊細に写しとるカメラワーク。ほんの少し白が混じったような色味が優しい。

メイソンは◯で、グレイスは△。そんな図形が頭に浮かんだ。
実の親じゃなくても愛されて育ったメイソンは笑顔も話し方も雰囲気も丸い。メイソンが里親に贈った言葉。「不安でいっぱいだった僕を引き取って、独りぼっちだった少年に教えてくれた。誰かに愛される幸せを」こんなことをサラッと言えちゃう優しいメイソン。

グレイスは職場では△、一人の時はもっと不安定な▽になる。何度も自傷行為を繰り返してトゲトゲの傷がいっぱい。そんな傷もメイソンと一緒なら癒えるだろうし、お腹のベビーと共にグレイスも少しずつ丸くなって欲しい。
ショートタームの子ども達もちょっとイビツ。欠けたものを満たしてくれる誰かに出逢ってねって、応援したくなる。

オープニングに呼応したエンディング。同じような朝に見えても、あの日より前に進んでいる。そんなふうに思わせる演出の巧みさ。涙腺やられた。
マルケス

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