はやし

スイートプールサイドのはやしのネタバレレビュー・内容・結末

スイートプールサイド(2014年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

思春期の感覚が鋭く痛く胸に刺さる。
あらすじを読んだり、部分的な映像だけを観たりしただけだと「なんだこれ?」で終わってしまいかねない。しかし、あくまで作品に娯楽性を与えるためにレアケースでもって表面部分の装飾をしてあるだけであり、中身はかなり普遍的な作品。

設定の雰囲気と、思春期の感覚の表現が生々しいが、除毛をダイレクトに生々しく描さないのがかなり好感を持てる。水着以上の露出はしないし、除毛シーンはすぐに緑豊かで幻想的なファンタジー世界に飛躍してくれる。

コンプレックス、特に「他人と違う身体」は、凄く敏感に過大に感じるし、他人に中々相談できない。
後藤さんの感覚に応じるように毛はオーバーに描かれている。(先生にプールサイドで抱きつかれるシーンは除毛前だが毛が無くてツルツル。好意を寄せる人に抱きついてもらって、自分を肯定、受け入れてもらっているシーン。)
後藤さんが自分では上手く毛を剃れないし、ハサミで毛を剃ろうとしたのは、父親にカミソリを貸してと相談することができなかったからだろう。

「毛が生えないことがコンプレックスの男子高校生が、毛が生えていることがコンプレックスの女子高生の毛を剃る」という状況がレアケースなだけで、この映画が描かんとするものは誰にでもある感覚、あった感覚。
私自身、中学生の頃くらいに身体にできた怪我の後遺症をちょっと気にしてる時期があった。思春期を過ぎればコンプレックスもコンプレックスじゃ無くなって、笑いに昇華できるようになったりする。今となってはどうでも良くなってしまった当時の感覚を久しぶりに思い出した。
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