ちいさな泥棒

午前2時の唇のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

午前2時の唇(2010年製作の映画)
4.7
キャッチコピーの「愛と秘密とセックス」に誤りはないんだけど、狙い的には誤りがあるくらいただのエロス作品ではない。こんな見ためだしエロスにカテゴリーにされてるけど全然普通にいい作品だった!個人的にはすっごくおすすめしたい!

秘密や心の闇を吐露する人があとを絶たない人気ラジオ番組「私のストーリー」のリスナー達が意外な形で繋がる群青劇。

学費のため売春する大学生、葬儀屋で屍姦していた男、ラジオを通して姿を消した元恋人にいつか繋がることを願う男、DV男に制裁を下したい若者、恋したい売れない脚本家、孤独な老人などなど信じられないくらい濃い面々ばかりが出てくるんだけどどの人物もとても愛しい。人は結局どこかに吐き出したい聞いてもらいたい繋がっていたい生き物なんだなと思った。一見無関係な人々がラジオを通して"好き"と"時間"を共有してるのもいい。ラジオ局に全然電話が繋がらないお婆ちゃんがクスッとさせてくれて好きだった。かなりいいことも言うし繋がったとき(あまりにも一方的だったから本当に繋がってるかは謎w)ここぞとばかりニッコニコして浮かれてうれしそうに楽しそうに喋るの可愛すぎた。

そことそこが?的なほんの些細なエピソードまで本人達の知らないところで絡んで繋がり命まで助かることまであるのが秀逸すぎる。ドジで売れない恋する脚本家のターンが意外と好きで、バスの中で恋した瞬間とか少しアメリっぽくて気持ち悪いんだけど互いに不器用で変態ってとこがよかったり、最後「おお!」と声が出てしまったほど粋な展開になったりする。売春してる大学生の色情狂のカミングアウトや顧客がまさかの〜〜で地獄の時間が流れたりと見応えありました。

ドヤ?ここ繋がるのすごいやろ?的ないやみな感じじゃなく何気ない日常がシュルシュルシュル!っと繋がるのがよくて。独特な音楽の使い方に編集も気になんなくなってくるし最後の最後まで気を抜いてない演出がむしろ好感持てる。

埋もれてるのがもったいない!もったいなすぎるよ!