せーじ

思い出のマーニーのせーじのレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
3.4
金曜ロードショーで視聴。

この作品もストーリーの大枠は、よく出来ているように思えた。
少女が、自意識とどう対峙していくのかや、どう自分の知らない他人の生き方を知り「赦す」のかが、基本的には丁寧に、かつ繊細に描かれているように思う。

それだけに!!と自分は呻いてしまった作品である。

まず、舞台を北海道に置いて、主人公を日本人(正確には違うが)としたのは百歩譲るとして、場所と時代背景の具体性がふんわりしていたのが頂けなかった。こういう作品こそ、元ネタとなる要素となりうる場所なり史実なりを探すべきだったのではないだろうか。

また、クライマックスで主人公が「赦す」シーンも性急で、あれだと裏切られたとなじってからすぐに赦してしまう、とても子供じみた演出であるように見えてしまう。
展開上仕方がないとはいえ、ここは、裏切られたと失望した後に、事実を知り、赦す…として欲しかった。
更に、敵対するキャラクターの扱いが雑に放置されたままだったのも気になった。「赦す」ことが主題である以上、主人公は彼女と劇中でキチンと和解するべきだったろう。(途中で登場する、東京から来た子と統合しちゃえば良かったのにとも思ったりもした)

個人的には今述べたことを、文字通り「赦せる」かどうかで、この作品の評価が決まるのではないだろうか、と感じる。ストーリーの大枠はカッチリとしているし、主人公周りの描写はとても繊細に描かれているので、悪し様に言うつもりは無いが、どうも個人的にはもやもやしてしまった作品になってしまった。
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