アリエッティに続き、米林監督のこちらを鑑賞。またもや、病弱な主人公を中心に、サナトリウム的片田舎での物語が展開される。
あんまり面白くなかった、、
ここからの感想は、すべて「本作がジブリ作品である」という前提に拠る。
良くも悪くもエンタメ色強めの作為的な内容で、ジブリズムをあまり感じられなかった。
「ここで驚いて!」「ここで感動して!」の主張が強引で分かりやすく、少し乗り切れない。
なんというかこう、不思議さが足りてないというか。
また、本作最大の筋書き的山場である「マーニーの孫が杏奈」という事実発覚のシーンも、碧眼を含む丁寧な前フリが原因で、何となく血繋がってるなーと簡単に推察できるため、あまり心が動かず。演出もこの伏線を超えるほどでなく、制作サイドが意図したであろう程度の感動や新鮮さはない。
一本槍感が否めないのが残念。
あと、養子縁組の補助金云々のくだりも、映画映えしない地味なカラクリで、何となく宙に浮いてるように見えた。ファンタジーのレベルと釣り合っていないというか、、。
描きたい雰囲気や理想的な青写真は何となく掴めるからこそ、悔しい。
とはいえロケ地となった釧路湿原の雰囲気は存分に味わえるし、風や水、太陽など、自然描写における瑞々しさはやはりジブリクオリティ。
ただ場面の数が限られすぎて、既視感の連続が退屈さを誘う点はイマイチ。
アリエッティもそうだが、宮崎駿のつくるものとは違う世界を描こうという米林氏の試みは素晴らしいものの、いまひとつ何かが欠けている感覚を、どうしても覚えてしまう。
個人的に肌に合わないだけかもしれないが、自身がハヤオ&イサオの信者であるという私情を抜きにしても、一定数の観客は同じことを思ったのではないだろうか。
マーニーの可愛さや2人の関係性における神秘性を、もっとロマンティックに、もっとダイナミックに引き出してほしかった。
文句ばかりになってしまったが、ジブリが大好きだからこそ、評価に込める想いも一入。
今作はジブリじゃなくても良かったのでは?とも思ったが、言い換えれば、スタジオジブリの幅を広げたのは確かだと思う。
メアリと魔女の花はまだ未鑑賞だが、腰は重い。