ぼるびっと

チョコレートドーナツのぼるびっとのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

とあるゲイバーのダンサー、ルディが同じアパートに住む、親から見捨てられたダウン症の少年マルコと出会い、家族になろうとするのだが…

幸せ家族になるのに必要なものと聞かれたら、子供が自由に夢を育めるだけの財力と、愛情と答えるかな~と思っていたのですが、この映画をみて、国民レベルないし隣人レベルでの理解と寛容も絶対必要だなと考えが変わりました。いわゆるイレギュラーな人生観やマイノリティさに対する理解のなさ、偏見に裏打ちされた無慈悲で柔軟性のない、「常識」の押し付けにあい、主人公ルディとその恋人、義理の子供のマルコがこんなにも互いを必要としているのにも拘わらず、引き裂かれる現実を目の当たりにして、法律はなくてはならないものではありますが、融通が効かない面があるだけに恐ろしいし、行使する人間に判断の偏りや驕りが生じれば、簡単にこんな悲劇が量産されるのだと、背筋が粟立ちました。正義はないと、法律学校で先ず学ばなかったのか?…それでも闘うんだ、という台詞が凄く心に残りました。この映画をみて気づかされたのが、私も同性愛のカップルが養子を育てているというニュースをみた時に、子供が将来同性愛に対して当然というような価値観になるんじゃないか?と、懐疑的にみていたことです。考えてみたら、同性を愛する生き方がなんら異常ではない一つの在り方と肯定するのなら、子供が同性愛カップルに育てられ、彼等の影響で同性愛に対する見方がより柔軟になろうが逆になろうが、それ自体悪いこととは言えないんですよね。母親には誰も勝てない、どんな法律でもなと、黒人の弁護士さんが言っていましたが、ルディのマルコへ注がれる惜しみ無い愛情の細やかさと思いやりに、生みの親より育ての親ってのはあるんだなぁと思いました。そんな事を実感させるルディ役のアランカミングさんの演技や、魂のこもった歌は素晴らしかったです!マルコも、素直で愛に飢えている感じがひしひしと伝わってきて、その分観客全員が、あの偏見集団(特にハンドサイン親父)を苦しめるには手紙じゃもの足りねぇ!と思ったんじゃないのかな。