朔

冬冬の夏休みの朔のレビュー・感想・評価

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
4.5
原風景。
現代に生まれ、現代を生きて、都会に生まれ、都会を生きて、そんな自分も、どうしようもなく心を動かされる、なつかしさをおもう、そういう、概念としての原風景を見た。
とはいえ、自分は現代の子や都会の子としては比較的、野生的に育ってきた自負があり、だからこそ、なのかはわからないけれど、じゃないかもしれないけれど、実体験としてのこころあたりも、すくなからずあって。
あまりにも、良くも悪くも、小学生で、子供で、それがとても、痛々しくて、でもだからこそ、どこかうつくしい。
何事でもないことが、どうしようもなく何事かだった、あの頃を思い出しては、なつかしくなる。泣きそうになる。心がぎゅっとなる。
つめたくて、あたたかくて、そういう矛盾した感覚のある、不思議な映像だった。それってまるで、あの頃のようだ。
朔