こたつむり

魔女っこ姉妹のヨヨとネネのこたつむりのレビュー・感想・評価

魔女っこ姉妹のヨヨとネネ(2013年製作の映画)
3.8
♪ 幸せになれるよ 私となら
  未来を誓えるよ あなたとなら

『映画大好きポンポさん』を仕上げた平尾隆之監督の作品と伺って鑑賞。

確かに凄い密度でした。
特にビジュアル面に関しては圧巻。
100分程度の物語ですが濃縮度が半端なく、常に全力疾走なのです。

それにキャラクターの造形が良いですね。
原作は未読ですが、劇中で語られない背景を感じさせる奥行きがあり、誰もが生き生きと描かれていました。それでいて物語を破綻させずに着陸させているのは見事な限り。

なので、唾をとばして大絶賛!
…と行きたいところなんですけども。
逆に言えば、その奥行きが悪さをしている…と感じたのも事実。要は“1クール放映した地上波アニメの劇場版”的な構造なんですよね。

例えば、タイトルの『ヨヨとネネ』。
これは主人公姉妹の名前ですが、二人が活躍する物語…と思いきや、縦横無尽に駆け巡るのはヨヨばかり。ネネはサポートだけで活躍する場面は極小。これが地上波に対する劇場版なら解るんですが、本作だけならば物足りなく感じます。

また、ヨヨの外観が別世界に行くことで変化しますが、この辺りも微妙。通常の状態に慣れ親しんでいるから変化が物語の彩りとなるわけで、本作限りで言えば、その意味合いが解りません。

他にも二人が暮らす国の説明や、今回の事象に関する背景も(たぶん戦争とやらが関係したと推測しますが)不透明。脳内補完するにも限度がありますからね。日々の積み重ね(本作で言うならば地上波で放映すること)の重要さを感じた次第です。

とは言え、それでも面白いのも事実。
終盤の展開には涙腺が刺激されますし、根底にある「誰かの幸せを願うやさしさ」にも心が温まります。就学前の子供と鑑賞するならば十二分に楽しめる作品です。

まあ、そんなわけで。
ちょっと苦言が先行しましたが、それはポテンシャルが凄いから。逆に言えば、この世界観で繰り広げる物語がもっと観たい!と思った…ということですからね。説明不足な部分を許容するように鑑賞することをオススメします。
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