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ウォルト・ディズニーの約束のwisteriaのレビュー・感想・評価

4.5
あー、これは素晴らしい😭泣けちゃいました。。

『メリー・ポピンズ』は新作・旧作どちらも大好きな映画ですがこんな製作秘話の作品があることは最近まで知らなかったです。Disney+で初鑑賞。

ウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)は娘との約束を果たすため20年間に渡って『メリー・ポピンズ』の映画化に奮闘するも、原作者P.L.トラヴァース(エマ・トンプソン)がなかなか首を縦にふってくれない。だが新作が書けず経済的に困窮する彼女はエージェントの勧めもありようやく映画化を「検討」する気になってくれたのだが……というお話。

原作者P.L.トラヴァースの頑固おばさんぶりが凄まじい。。やれアニメは駄目だ、ミュージカルは駄目だ、赤色は使うな、そんな言葉使いは英語じゃないだと難癖の雨あられ。打ち合わせのためにロンドンからロサンゼルスのホテルにやって来るや、ミッキーやプーさんの人形・風船に飾られたディズニーファンなら泣いて喜ぶであろう歓待を受けるも片っ端からケチをつけまくり、ベッドに鎮座していた大きなミッキー人形を窓際に追いやり反省を促す始末。。

ところがこの話と平行して描かれる彼女のオーストラリアでの少女時代を知っていくと、なぜ彼女がこのような行動をとるのか、メリーポピンズという作品に込めた思いを徐々に知ることができる構成。この憎ったらしくもありまた知れば知るほど悲しくもある複雑で振幅の大きい繊細な役柄をエマ・トンプソンが実に見事に演じきっている。

そしてこの彼女の背景に重ねたウォルト・ディズニーによる最後の説得シーン。ここで原題の"Saving Mr. Banks"の真の意味がわかる仕掛け😭ディズニーにそんな生い立ちがあるとかしらんかった。。ちなみにこれは同じトム・ハンクスが出ている『プライベート・ライアン』の原題"Saving Private Ryan"にもかけてるのかなーとか思ったり。

こういった原作および映画の背景を知って『メリー・ポピンズ』を見るとまた違った味わい方ができそう!一見傘☂️で空飛ぶ素敵ファンタジーな作品がここまでパーソナルなものだったとは。。久しぶりに見直してみようかな〜


[追記]
ロサンゼルスでの送迎運転手ラルフを演じたポール・ジアマッティ、凄く素敵な役柄だったんだけど、彼のセリフで'No problemo"という、後に『ターミネーター2』とか『パルプフィクション』でお馴染みとなるあのスペイン語風英語が使われていた。この言い回し自体は舞台の1960年代にはもう普通にあったんですかねー
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