さゆ

トスカーナの休日のさゆのレビュー・感想・評価

トスカーナの休日(2003年製作の映画)
4.0
私達のイメージするイタリアは伝統的で美しい国。そして住人はせかせかしてなくて、大雑把で、楽しむことのプロフェッショナル。
そんな彼らと毎日を気ままに過ごせたらと世界中の多くの人が夢描いていることだろう。

この作品の主人公ことフランシスはとんでもない理不尽を受けて精神を傷付けられ、トスカーナへやってきた。そこで運命的な思いつきをして、トスカーナの古い家を購入する。私もやるかもしれない。他人に傷付けられた時は自分の意思で何か大きな買い物をするのがいい。それだけで自分の人生の舵が取り戻せるから。
「泣きたくなるような発見があっても、買い物が失敗とは限らない。」

イタリアの男性は常に女性に好意的で、甘い恋に落ちるのはあっという間。だけど長続きしないことも多い。
あの色男マルチェロはフランシスの他にも数え切れないくらいの恋の終わりを経験しているんだろう。
フランシスとの恋に見切りをつけて数秒後、追いすがる元カノの声に振り向こうともしないんだもの。クズだけどなんか潔さが人間的。

キャサリンは退廃的なこの映画全体のオーラを纏った人物。随所に出てくるひまわりも同様。次に観る時にはもっと着目しよう。

そう、イタリア人だって、苦悩も孤独も沢山味わっているのだ。

永遠の愛ってどこを探せばあるんだろう。愛が終わったらどこへ向かえばいいんだろう。そんな大きなテーマを投げかけた映画で、その答えを私はまだ見出せていない。
でも、もしも人生に絶望した時に
「電車が通る予定もない場所に橋をかける」のは素敵なアイディアだと思った。
さゆ

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