ゼロ

インセプションのゼロのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
5.0
夢の世界を圧倒的な映像美で表現する映画。

あの「ダークナイト」や「ダンケルク」などを手掛けたクリストファー・ノーラン監督作品。クリストファー・ノーラン氏が監督・脚本・製作をしています。どんな話かと訊かれれば、夢の中に潜っていくSFアクション映画です。

話の大筋としては単純で、モーリス・フィッシャーが経営するエネルギー企業を破滅させるため、息子のロバートを説得させ、解体させるというものです。相手を落とすために用いる手段というのが、相手の夢なのです。夢に潜り込み、考えをインセプション(植え付け)させるために、大冒険をします。

予告編を観ていただけると分かりますが、本作品の映像と構成は素晴らしいものがあります。夢の世界だからこそ、重力に逆らったり、建物が逆転したり、騙し絵を実現させたり…とその手の妄想は、全て映像に落としています。夢を映像にするだけでも衝撃的なのに、夢の中の夢の中の夢の中の夢…と夢の世界を同時並行で描き、物語に深みを出しています。

一見、設定が難しそうにも思えますが、序盤の一時間は世界観や設定を語り、徐々に物語が進んでいきますので丁寧かと思います。

主演・ドム・コブを演じるレオナルド・ディカプリオ氏を筆頭に、日本を代表する渡辺謙さんやジョセフ・ゴードン=レヴィット氏など演者の力も見事です。それぞれの登場人物が、役割があったり、過去のエピソードがあったりと、無駄な人物を置かず、148分を全速力で駆け抜けていきます。

夢の世界だから何でもありじゃん!!と興ざめするような作品も多い中、夢の世界なのに現実感があり、痛みがあり、空想に逃げていませんでした。正にクリストファー・ノーラン監督だからこそ作り上げることができた作品と言えます。

SFのエッセンスを入れながらも、ドラマとしても、エンタメ作品としても、アクション映画としても楽しめる素晴らしい作品でした。
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