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なにもこわいことはないのdojiのレビュー・感想・評価

なにもこわいことはない(2013年製作の映画)
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どういうわけか冒頭から涙が出てきた。
しばらくすると落ち着いて、映画の中の日常へとすっと入り込んでいく。撮影された場所が馴染みのあるところばかりだったせいか、現実との境目が少し曖昧になってくる。

おだやかな装いをした生活の中に確かに喪失や死は存在していて、それは時間の流れの中ではどうしようもないことではあるのだけれど、妻の決断と夫の戸惑いには、どうしようもなく涙が流れてしまって、あまり冷静には見れなかった。

なにもこわいことはない、なにもこわいことはないと、子どもが本を読むように声に出して、少しでも孤独の影を追い払おうとする。日が暮れようとする空を、なにも言わずに見つめるふたりのシルエットは、たぶん忘れることができないのだろうと思う。予告編をはじめてみたときから、これは観なくてはいけないと思っていて、念願かなって観ることができて本当によかった。
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