蛸

ウィンチェスター銃'73の蛸のレビュー・感想・評価

ウィンチェスター銃'73(1950年製作の映画)
4.4
1000本に1本の奇跡的な出来栄えのウィンチェスター銃を巡って展開される92分。
娯楽西部劇としてこれ以上ないほどよくできた一本(あまりにも娯楽に振り切れているためマカロニウエスタンの領域に接近しているようにすら見える)。

とにかく終始無駄のない展開が素晴らしく、主人公と宿敵の関係性もセリフで簡潔に触れられるだけ(ラストで詳しい説明はあるが)。この潔さよ。とてつもなく自然に導入されるラブロマンス要素も良い。
マクガフィンとなる銃が人の手から人の手へと渡っていくことが映画の推進力となっていて(そしてそれを追う主人公)、その銃の移動の軌跡に人物のドラマが織り込まれているような印象を受けた。それくらいに停滞感がない作劇が気持ち良い。
荒野を走る馬の疾走感や銃撃戦の迫力も凄まじかった。
ラストの岩場でのしつこいくらいに尺をとった(そしてそれが故に異様な緊張感の漂う)銃撃戦に痺れた。跳弾演出含む弾着描写も見事。
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