半兵衛

デデという娼婦の半兵衛のレビュー・感想・評価

デデという娼婦(1947年製作の映画)
4.1
ある男を好きになったことで夜の世界から抜け出そうとするとも足にへばりついた泥から抜け出せず、そして最悪の結末を向かえてしまう娼婦のやりきれなさに胸が苦しくなった。娼婦の周りの人たちや彼女を何くれとなく世話をする酒場の主人がとても優しいのも清々しいほどのヒモのクズっぷりも終盤のの悲劇を一層強調することに。

娼婦を演じるシニョレの、憂いと知性を含んだ顔立ちが荒んだ生活に疲弊してしまうもその状況に甘んじることなく自分はそこにいるべきではないともがく主人公の女性像によく似合っている。

ラストの、ヒモの男と好きだった船長へのけじめをつける様々なニュアンスを感じ取れるシニョレの絶妙な表情が素晴らしい。

舞台となる夜の町を覆う霧や娼婦たちが住む古いアパートを美しくもはかなく切り取る撮影も印象的。
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