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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのnetfilmsのレビュー・感想・評価

4.0
 1988年アメリカミズーリ州、幼い頃のピーター・クイル(ワイアット・オレフ)は母親の死期を悟るかのように現実逃避している。まるで下界の音をシャット・アウトするかのように両耳を塞ぐヘッドフォン、「最強ミックスvo.1」のカセットテープの再生ボタンを押すと、10CCの『I'm Not in Love』の美しいメロディが流れて来る。伯父さんに呼び出され、病室に飛び込んだピーターの前には、髪の毛が全て抜けた母親の姿がある。母親は消え入るような声で息子の名前を呼ぶが、まだ現実が受け入れられない息子は母親の思いにストレートに応えることが出来ない。ベッドの上に置かれたプレゼント、掴みかけた手は息子には永遠に届かない。失意の息子は母親からのプレゼントを抱え、目に涙を浮かべたままで無我夢中で走り出すが、ヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー)率いる宇宙海賊ラヴェジャーズに拐われてしまう。それから26年後、すっかり大人になったピーター・クイル(クリス・プラット)はトレジャーハンターのエースとしてラヴェジャーズに貢献していた。惑星モラグでの物色中、オーブを盗み出そうとしたところ、同じくそれを狙うクリー人のロナンの部下のコラス(ジャイモン・フンスー)と遭遇する。一足早くオーブを盗んだピーターは逃亡を図るがヨンドゥに見つかり賞金首となり、更にロナンは最強の暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)を送り出す。

 かくしてオーブを巡る4つ巴の奪還作戦はスタートし、それぞれに思惑を抱えたガーディアンズたちは思わぬ形で出会ってしまう。緑色の肌をした美しき暗殺者であるガモーラはその腕っぷしでピーターから財宝を奪おうとし、まったく強そうに見えない木製のヒューマノイドであるグルート(声=ヴィン・ディーゼル)と小さなアライグマのロケット(声=ブラッドリー・クーパー)もオーブの行方を見守っている。前半部分はこの4つ巴のキャラクターたちの描き分けに時間を割くあまり物語が停滞しているものの、アメコミ映画の王道に倣い、ガーディアンズ・メンバーが総結集する様子にはやはり否応なしに心拍数が上がる。桃太郎方式でリクルーティングされたチーム構成は、人間の輪の中に動物もいる奇妙な構成だが、束になってかかると無類の強さを誇る 笑。味方なのか敵なのかわからないタニリーア・ティヴァン / コレクター(ベニチオ・デル・トロ)の怪演を筆頭に、ノバ・プライム帝国のリーダーであるイラニ・ラエル(グレン・クローズ)、ラエルの部下であるローマン・デイ(ジョン・C・ライリー)など幾つもの強力な曲者たちも小技が利いている。The Raspberries の『Go All the Way』やBlue Swedeの『Hooked on a Feeling』、David Bowieの『Moonage Daydream』 など要所に配した懐メロのグッと来るようなセンス、クライマックスのThe Five Stairstepsの『Ooh Child』におけるクリス・プラットの緊張と緩和には思わず笑ってしまう今作は、マーベル・シネマティック・ユニバース史上最高のモンスター・ヒットとなった。
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