てっぺい

インターステラーのてっぺいのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.0
【フル説得力の異次元映像美】
異次元の世界を見事に映像化。伏線回収でのアハ体験も連発するその世界観、監督のセンスはもはや天才レベル。ノーベル物理学者の監修つきで説得力が激増した、リアリティ爆発の近未来映画。
◆概要
監督は「ダンケルク」のクリストファー・ノーラン。出演は「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒー、「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウェイ、「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステイン、「キングスマン」のマイケル・ケインら。脚本はノーラン監督とその実弟ジョナサン・ノーラン。また理論物理学者のキップ・ソーンが科学コンサルタント兼製作総指揮を務めた。キップは2017年、ノーベル物理学賞を受賞している。
◆ストーリー
世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来を舞台に、家族や人類の未来を守るため、未知の宇宙へと旅立っていく元エンジニアの男の姿を描く。
◆感想
異次元の世界、特に4次元を超えて5次元という世界観ををここまで明確に映像化してくれた映画が初体験。もう、クリストファーノーラン監督そして脚本を共作した実弟が天才だとしか言いようがない。
◆以下ネタバレ◆
まずは全体をほっといて、宇宙の果てで五次元の世界に到達する描写がピカイチ。四次元や五次元を映像化する映画は他にいくらでもある中、ここまで明確で、ここまで未来への想像力を掻き立ててくれる映像美もないと思う。ワームホールに入り、次元の違う世界へ飛び込むという宇宙設定だからこそ、辿り着く宇宙の果てでの五次元体験が違和感なく、脳が自然に事の運びを理解出来ていく感覚。本棚で形成される五次元世界や、過去と交錯する時空の歪みの描写もどこか不思議な美しさがあるし、同時に伏線回収のアハ体験で脳が活性化。いやはや反復ながら、誰も体験した事のない未来の世界をここまで明確化した映像美が素晴らしい。
また単にジオディザスタームービー的要素で切り取ってもレベルが高い。ワームホールの円状の時空の歪みの表現や、ミラーの星での圧倒的な高さの津波とうねり、マン博士の星での氷の大地、思い出しても鳥肌が立つほど、映像の迫力が秀逸。
また監修に入った物理学者がその後ノーベル賞を受賞している事も、大幅にこの映画のハクをつけていると思う。4次元や5次元の解釈、後半出てきた量子力学の(?)方程式に説得力が加わって、映画に本物感が出ていると思う。この映画はノーラン監督の映像遊戯ではなく、教科書にもなりかねない、れっきとした物理の映像資料と言えるのではないでしょうか。
個人的には、時空の歪みや宇宙と生命の量子レベルの描写が自分のバイブルである「AKIRA」のラストと重なる感動体験も。ノーラン監督がAKIRA読者かと思って調べたけど、接点はないものの実写映画監督の話が上がっているようで、実現するならこれ以上ない期待作になる。
ただしこの映画の話全体としては、なっかなかの難しさで自分の極小脳ではついて行くのがやっと。プランAやプランBの意味、永眠カプセルの構造、クーパーがNASAに登用された理由などいくつか消化不良な部分があったので、二回三回とリピートする事でさらに理解度と面白味が増す映画なのかも知れない。長編なので中々ハードルが高いけど笑。
後半、まさに釘付けという言葉がぴったりの、世界観、映像美に惹きつけられる映画でした。また一つ、人に勧められる映画を発見!
てっぺい

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