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マイティ・ソー ダーク・ワールドのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.7
 宇宙誕生前夜、闇の中に誕生したダークエルフ達の集い。最も邪悪なマレキス(クリストファー・エクルストン)が、インフィニティ・ストーンの中に収められた無限の力「エーテル」を使い、宇宙を再び漆黒の闇に戻そうとした。オーディン(アンソニー・ホプキンス)の父・ボー(トニー・カラン)の率いるアスガルド軍が必死に応戦し、何とかエーテル奪還に成功した。その結果ダークエルフ達は何処かに消え、エーテルは地中深くに埋められた。ニューヨークに壊滅的な打撃を与えた「アベンジャーズ」の戦いから1年。英国・ロンドンで原因不明の重力異常が発生した。アズガルドの王子ソー(クリス・ヘムズワース)の恋人であり天文物理学者のジェーン(ナタリー・ポートマン)は、その原因調査のためロンドンへと向かう。だがこの怪異は、宇宙が誕生する以前から存在していた闇の力を復活させ、地球侵略を足掛かりにして全宇宙の滅亡を企むダーク・エルフの仕業だった。コンクリート打ちっ放しの子供施設、調査を進める中、ジェーンは重力が発生するスポットに迫るが、宇宙滅亡を導く鍵となる“ダーク・エルフの力”を自らの身体に宿してしまう。重力異常により5時間行方不明になったヒロインの元へヒーローがやって来る。その瞬間強い雨が振り、ジェーンに両頬を平手打ちにされた男は、口づけをしようとした瞬間に助手のダーシー(カット・デニングス)に制止される。

 「マーベル・コミック」のヒーローコミック『マイティ・ソー』の大ヒットにあやかったシリーズ第二弾。9つの国を統治するオーディンは長らくアスガルドのカリスマとして知られ、後継者に2人の兄弟のうち、兄ソーを指名した父親は暗黒面に落ちた弟ロキ(トム・ヒドルストン)を投獄する。幼馴染のシフ(ジェイミー・アレクサンダー)、「ウォリアーズ・スリー」のヴォルスタッグ(レイ・スティーヴンソン)、ホーガン(浅野忠信)、ファンドラル(ジョシュア・ダラス)たちは黙ってことの次第を見つめるが、すっかり暗黒面に落ちたロキは家族への憎悪を肥大化させ、アズガルドの転覆を企む。前作『マイティ・ソー』では西暦965年から2011年にタイムスリップを遂げる北欧の勇者の姿こそが核となったが、2013年から967年にタイムスリップするヒロインの姿が今作の核となる。フルチンで走り回る中年男エリック・セルヴィグ博士(ステラン・スカルスガルド)やジェーンの求婚者リチャード(クリス・オダウド)やダーシーの助手イアン(ジョナサン・ハワード)の描写はアメコミ映画というよりも、むしろライト・コメディの様相を呈するが、後半のVFX技術に裏打ちされたアクション・シーンの迫力は有無を言わさぬ魅力を誇る。北欧神話と現代とのダイムスリップを主軸にした物語は、『スター・ウォーズ』シリーズのような血筋にまつわる因果に揺れる。惑星直列の瞬間と「エーテル」の巨大な力、前作ではあまりクローズ・アップされることのなかったフリッガ(レネ・ルッソ)の最期、愛と憎悪に揺れる兄弟の姿はラスト1分の驚くべき逆転劇に触れる。
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