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楽隊のうさぎのodyssのレビュー・感想・評価

楽隊のうさぎ(2013年製作の映画)
1.5
【駄作への道は善意で・・・】

こういう映画だから、ほめたいのはやまやまだけど、でも・・・・という出来ですよね。

生徒たちは基本的にシロウトだから、演技が多少下手だとか、せりふが聞き取りにくいっていうのは別にいい。だけど、見ていて全然元気が出ないよ、この映画。

まず、主人公の少年の表情のなさ、緩慢な動作にびっくり。最初だけそうなのかと思ったら、最後まで変わらない。

今どきの中学生って、こんなに無表情で動作が緩慢なの? 演技がどうとか言うのじゃなくてさ、ふだんからこういうふうに無表情かつ緩慢な動作で日常生活を送っているわけ? だとすると、日本の中学校って重症じゃない? 日本の将来は大丈夫なのか、って案じてしまう。オレが中学生の時は、いくら内気な生徒だって、こんなじゃなかったぜ。こんなだったら、気持ち悪いと言われて敬遠されてしまう(オレの頃は、今のような集団的なイジメはなかった。ドラえもんのジャイアンみたいな力の強い粗暴な男の子が気の弱い子をいじめるってのはあったけど)。

シロウトの生徒たちだけじゃないのだ。吹奏楽部の顧問教師役の宮崎将だって、そう。こんなに元気のない教師じゃ、生徒にバカにされるんじゃないの? いや、彼だけじゃなく、担任教師役の小梅も同じ。この二人はシロウトじゃないですよね。だとすると、こういう演技をしろって監督が指示しているのだろうな。監督の力量というか、常識が問われるんじゃないの? この映画に出てくる教師でいかにも教師だなと思えたのは、最初に出てくる英語教師役の寺十吾だけだね。

吹奏楽部だから、音楽をみんなで作っていくシーンがもっと欲しいし、或いはサッカー部に入った同級生の問題ももう少し掘り下げて描かないといけないんじゃない? その辺、きわめて中途半端。

善意で作った映画だから傑作になるとは限らない。「地獄への道は善意で敷きつめられている」というのは政治学方面のことわざだけど、もしかすると映画作りにも当てはまるのかなあ、なんて思ってしまいました。駄作への道は・・・・
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