ゼロ

ウルフ・オブ・ウォールストリートのゼロのレビュー・感想・評価

4.1
このペンを売ってみろ。

ウォールストリートという名詞が表題に入っているので、堅い金融モノかな?と思い、鑑賞したところ、真逆の物語でした。実在の人物・ジョーダン・ベルフォート氏の回想録を原作とした伝記もので、監督はマーティン・スコセッシ氏で、主演はレオナルド・ディカプリオ氏で華やかでした。

主人公のジョーダンがぶっ飛んでおり、貧乏人にペニー株売りつけて成り上がっていく成功物語なんですが、成功したジョーダンは、酒を飲むわ、ドラッグを決めるわ、女は抱くわ、人間を裏切るわ、と最低な人間でした。欲望に忠実な男をディカプリオ氏が演じることにより、人物に説得力が生まれた気がします。あんなバカをしても、レオ様が演じるなら、分からんでもないという納得な感じがありましたし、ドラッグでトリップしている姿を熱演していたのは、見事でした。

上映時間が179分と長いのもあり、中盤は勢いがなくなった感じはします。展開として、会社でドラッグやファックをキめる人間が、ハッピーエンドを迎えるわけがないと分かるので、堕ちていく様に同情の余地はありませんでしたが、かと言って見たことか!という気持ちもありませんでした。

私生活は乱れていたベルフォートですが、ビジネスマンとしてペニー株を売る話術や社長としての演説には力があり、数人で始めたストラットン・オークモント社が大企業になっていく様は、気持ちが良いものでした。倫理観が壊れた人間性は潔く、副社長のドニーやドラッグの売人・ブラッドには人情味を感じるところがあり、憎めないようなキャラクターに見えました。

想像以上に豪華に、派手にしたのは、マーティン・スコセッシ氏の手腕によるものでしょう。めちゃくちゃノリが良く、音楽も良いので、悪いことが悪いように見えませんでした。だからR-18になっているのも納得です。

人を選ぶ作品であることは間違いないですが、アメリカ人の欲望を余すことなく描くと、こんな作品になるのかな?と感じる面白い作品でした。
ゼロ

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