スローモーション男

恋人たちは濡れたのスローモーション男のレビュー・感想・評価

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)
4.5
 久しぶりに観た神代辰巳映画

『一条さゆり濡れた欲情』がまったくハマらなかったのですが、この作品はとても好きでした。

寒い田舎の港町。ふらふらと流れてきた若者とポルノ映画館の女将、そして青姦する男女。

ほとんどストーリーはないです。
男と女が出会ってまた違う男女が出会っての繰り返し。そしてやることはSEXしかないという恐ろしさ。

しかし、神代辰巳はこの変な展開をキレイに描いてしまう。
特にあの自転車と車やバスなど乗り物を使っての表現が上手い。
本当は好きなのにどうすることもできない感情。それがこの港町の古さとリンクしているんです。
さらにはそこに退廃的なSEXが描かれる。いままで自分が観てきた日活ロマンポルノ映画は正直濡れ場を描く必要性がないものがかなりありましたが、この作品は必要だと感じました。
特に、主人公の克が女性を追いかけ回して浜辺でレイプするシーンは日活ロマンポルノだから描けたと感じました。

最後の謎の砂浜での跳び箱とラストシーンも素晴らしいのです。
これこそすごい感動を呼びます。
『害虫』などを監督した塩田明彦が、神代映画は意味のないシーンをずっと繰り返し撮り続けることで、意味のあるシーンを作り出し感動を与えると言っていました。
まさしくその通りだと思います。

神代の映画も観ていく!