田舎

不気味なものの肌に触れるの田舎のレビュー・感想・評価

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)
4.0
理屈として意味のわからないところは多々あるのだが、私はこれ単体でもかなり良かったと思う。滞留した欲求を暴発させないためにコミュニケーションが存在している。言葉を交わす、目を合わす、写真を撮る、身体に触れる。この映画においては踊ることも一つのコミュケーションとして成立しているようだ。自身の手の甲を食いちぎる演出には、叶わない欲求(触れたいけど触れられない)の暴発や鬱屈したディスコミュニケーションの表出的な要素でもあると同時に、触れるという行為(コミュニケーション)がどのような形式であっても、それ自体が加害性/暴力性を必然的に孕んでいることを示唆している。
『寝ても覚めても』以降、特に『ドライブ・マイ・カー』で感じた「演技(を続けながら生きていくこと)」に対する濱口監督の何かしらの反応が、講師からの課題に取り組む喫茶店での明らかに異質なシーンにて、既にこの時点から見て取れた。直前に『永遠に君を愛す』を見た影響もあるだろうが、作品の時系列的にも、それまでの作品と比べカットやセリフもかなり洗練されており、商業デビュー以降の濱口作品にかなり近付いていた印象。
とかく言って参りましたが、瀬戸夏実さんの存在感ヤバすぎないですか?完全に目を奪われてしまった。何者なんだ彼女は。
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