昼行灯

天使のはらわた 赤い教室の昼行灯のレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)
3.9
ナミの「来る?こっちに」がすごすぎた。村木はナミを救いたいと思って、足を洗うことを要求するけど、それもまたナミをレイプした男たちと同じく男のエゴだったというわけで、、村木は俺も社会のなかで差別される側だとも投げかけるけど、顔出しはしてないわけで、やっぱりこのふたりが一緒になるのは無理だったのかなと思う。

特に、村木に約束をすっぽかされたナミが男を連れてラブホテルに泊まるシーンがすごすぎる。酔った男性客の視界がおぼつかないのを、ラブホの障子の裏の隠し鏡に映った像をカメラが上下に揺らして撮ることで間接的に表している。最初は男性客の視点で演出されることが多かったが、行為の終盤では、ナミの視点でも鏡の歪みが表され、ナミも錯乱していることがうかがえる。そして、ラストシーンで水面に映ったナミが波紋で歪む演出があるがこれはラブホの鏡の演出の延長線にあるといえる。水面を虚ろに見つめるナミの表情が全てを物語っている。面白い演出だな~と思ってたけど、ラストで回収されるとは思わずびっくりした。

ナミと村木の再会のシーンで映像が度々ブツ切りになる演出もよかった。何度も村木がナミを呼びかけるけど、ナミは知らぬ存ぜぬで、そのうえ映像まで村木とナミを断絶する。待ち合わせと別れのシーンがロングショットになるのも、2人の心の距離を表してるみたいで効果的だった。

あと、村木家の子供用おもちゃの可愛さたるや。一般家庭であんなにファンシーなやつが沢山買ってもらえるんだなあ。3年待ってたという割に不倫女と結婚してる村木の下駄履き男加減推して知るべし…そんなやつの3年よりずぶ濡れの3時間の方が重い。
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