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オスロ、8月31日のJTのレビュー・感想・評価

オスロ、8月31日(2011年製作の映画)
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夜明けと夕暮れの始まりと終わりがどこかで姿を変える。始まりの朝に光がない日が幾度も巡り、不安と恐怖は夜に消える。街を歩く身体がただの肉体に、その瞳でみえる世界は無色に。周りの声、街の騒音に、自分の声を失う。ひとの人生を想像する。幸福と、未来と、悦びを考える。誰かを選ぶことの重みと、自分を選ぶことの重みを比べる。言葉を残して跡を残す。相手の中と自分の中にずっと続く記憶を、永遠はないと知っていても、その場所とその時にいることだけしか確かなことがないから。夜の終わりに続く明け方の静けさに漂う静謐と空虚に、夜にない胸のざわつきを覚える。希望がなくても意味を探す。あの窓辺に、あの部屋に、あの公園に、あの道に、あの水辺にいた魂に、その理由を。
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