さいとぅおんぶりー

アルプスのさいとぅおんぶりーのレビュー・感想・評価

アルプス(2011年製作の映画)
3.8
映画冒頭カルミナ・ブラーナの音楽が鳴り響き、それと対照的な拙いバレエから始まるのが印象的。
ヨルゴスランティモスの作品は不自然に散りばめられた違和感から世界観の全容を類推してく楽しさがある。
突拍子もない寓話的説話構造だからこそリアリズムに寄せる必要がある為、音楽演出を排除し徹底して共感性から距離を置く事で炙り出される人間的なるものの精神が見えてくる。

彼女の人生は終始他者に支配されていて主体性が欠如していたからこそ、死者の生を演じて生きる事で本来の人生を取り戻した様にも見えた、だからこそ一貫して行われた抑揚のない台詞回しがラストだけ変わるのも良かった。