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ベニシアさんの四季の庭のodyssのレビュー・感想・評価

ベニシアさんの四季の庭(2013年製作の映画)
3.1
【京都・大原は庭である】

英国貴族の家に生まれながら、その生活になじめず、インドをへて日本に流れ着き、東京暮らしののちに京都の大原に住み着いた女性のドキュメンタリー。

現在の暮らしが主として紹介されていますが、庭に栽培したハーブだとか、様々な植物を上手に活かして過ごしているのが分かります。二度目の夫である現在の亭主は写真家。山登りもよくしているようです。

最初の結婚で二男一女に恵まれ、二度目の結婚でも一男が生まれています。しかし娘さんは未婚で男の子を生んだものの、その後統合失調症にかかってしまう。人生、なかなか思うようにはいきません。

英国女性のそういう半生や現在の暮らしを紹介する映画としてはまあまあ悪くないと思うのですが、他方、だからどうなの、と言いたくなる気持ちもないではありません。もちろんこの英国女性にいちゃもんをつけたいわけではありません。人間にはそれぞれ運命というものがありますから、彼女が遠い異国でこういう暮らし方をするのも運命だったのでしょう。

でも、京都の郊外で、自然な暮らし方風をしている英国女性ってのが、いかにも絵になってしまうので、そこら辺がかえって特権的な何かを感じさせてしまう・・・ような気もしないでもない。

京都の大原にはむかし、一度だけ旅行で行ったことがありますが、切り整えられた自然だなあ、と思いました。私のように日本列島の北東部で育った人間からすると、自然と言うよりは、大きな庭を見るようなものでした。そういうところが、あまり深い森林がない英国と共通していて、だから英国女性にも合っているのかな、なんて考えた私でした。
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