レビューをする前に…。
大前提が必要ですね💦
監禁をして、いつしか相手に気持ちを向けさせるというのは…。
まさに、ストックホルム症候群。
美化することに対しては、称賛したりすることができないということ。
これが大前提。
後々、その人の心にはその傷が残り、忘れられず苦しみ抜く事に必ずなりますからね。
自らも深いトラウマを発端として、未だ厄介で摩訶不思議な難病になり、闘病中の身であることを考えると…。
なんだか辛くなる話でもありました。
その前提を踏まえて、本作をレビューするとしたら、「切ない」というか「悲しい」というか…。
やはりそういう感情も抱きました。
1番考えてしまったのは、
お嬢さんが逃げようとした際に、
「逃げたら待っててくれる人がいるのか?」
と言われたかと思いますが、
そこでお嬢さんは黙りこくってしまったと言う描写。
この映画の中のお嬢さんは、
何か満たされない、
必要とされていない、
そんな感覚も同時に持ち合わせていたんじゃないかなと、感じました。
そういった描写が随所にあった気がします。
本当の愛に飢えてしまっている男
どこかしら虚無を抱えているお嬢さん
…🤔
こういう満たされない感情って
むしろ現在社会の方が多い気がして。
心に空いた穴を埋めたい…
って思う気持ちは生きていたら
感じると思います。
そもそも満たされた人間など居ないかもしれませんが。
もちろん、あの最後の聴取のシーン、
嬉しそうに回答するお嬢さんは、
若干の狂気も混じっていて…。
やっぱりストックホルム症候群によるものなのではないか、と思ってしまいますけれどもね。
とはいえ、ラストに河川敷で寂しそうにしていた姿は、現実世界とあの生活との対比を見る側に伝えたかったのかな、と…。
…。
こう考えていたら、余計に
この男がやった事は罪深いかもしれない。
だって、仮にですよ、
本当の愛情だったとした場合。
この状況はまさに仮ですよ。虚構です。
終わった後に、より心にぽっかりと穴をあけてしまうと思います。
いつまで続くわけではない関係なんですから。。
もちろん、永遠の関係なんて有り得ません。
しかし、この関係が不条理な形で手に入っているとしたら。
それは直ぐに瓦解するものなわけで。
「本当の愛を手に入れたいから」
という理由で、こういった犯罪を犯してしまうなど究極のエゴイストですし、だからいつまでも本当の愛が手に入らないのですよ、と言わざるを得ません。
と、レビューしていて改めて、かなり複雑な気持ちになったし、仮にこれがストックホルム症候群でなかったとしても、少女の満たされない気持ちをいたずらにを穢したと言う点で、とても罪深いことだと思い、切なくなりました。
竹中直人さんも小島聖さんも最高の演技ですね。
まさに体当たり。
様々な感情をぶつけ合っていたし、本当にプロだなあと感心してしまいました。
賛否は分かれると思います。
男女でも年代でも感想は違うでしょうし、今抱えている問題や、今の心のありようで様々な感想が生まれる作品だと思います。
そういう意味で、美化などは論外と前置きをした上で、なかなかな名作なんじゃ無いかなと感じました。
シリーズ化するのはちょっと違和感があるものの、見ていないため、なんとも言えません。
シリーズを見たいと…、
あまり思えない題材でもあります。
しかし本作は、かなり考えさせられました。
B級ホラーみたいに、
ふざけたレビューを書く気にもなれなかった💦