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10月の奇跡のtheocatsのネタバレレビュー・内容・結末

10月の奇跡(2010年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

誰も笑わず表情変化に乏しいため、登場人物の心理と状況把握が結構難しい作品。

あらすじではハッピーな結末が予想される〝奇蹟物”的説明だったが、それは情緒的感動を匂わせ視聴意欲を掻き立てようとする邦人映画宣伝担当がやりがちなまやかしと思われる。

個人的印象では極めてドライ。その中でカソリック信仰の女の女性性と母性が温かみをかろうじて感じさせる程度。

主役の金貸しの状況が極めて興味深く、全く個人経営のようで金銭管理も手持ち金庫を壊れたオーブンにしまうという杜撰さ。
ペルーではありがちな形態か分からないが、泥棒や強盗に入られたら一巻のお終いだろうに、ビジネスがそれで成り立っていることに少し驚く。

ストーリーの概要は、娼館通いで性欲を発散させる味気ない生活を送っている独身の金貸しの部屋になぜか赤ん坊が置き去りにされ、警察に行っても施設に回されるだけだし、母親と思わしき娼婦探しも仲間の娼婦が嘘をついて居場所を突き止められず、仕方なしに子守として雇った女が面倒を見てくれるのはいいとしても、母性と共に金貸しに対して女性性が目覚めてしまい「自分のパンツを洗った水を飲ませ催淫を生じさせるまじない」など色仕掛けをするも金貸しは拒絶。クロスワードのくじ当選で金を得た女は金貸しを見限り赤ん坊と一緒に彼のもとを去ってしまう。
ところが金貸しは知らず知らず子守女に愛情を抱いていたことに遅まきながら気付き、彼女にプレゼントを買って部屋に帰ると女と赤ん坊は去った後。
男は失った二人を探しに街に出る・・・・END

つまりメインは一種のラブストーリーなわけだけど、そこにクロスワードくじ売りの爺さんと寝たきり祖母さんのエピソード、質流れ買い取り業者に掴まされた高額偽札の処理を巡る姑息なエピソードなどを交え、かなり複層的でジワリ味わいが出てくるそこそこ良い作品だったように感じられた。

後、面白く感じたのがペルーの娼婦は太り気味のおばちゃんがスタンダードみたいということ。という見方も一面すぎるかもしれないけれど。
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