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静かなる叫びのleylaのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
3.8
1989年カナダのモントリオール理工科大学で起きた銃乱射事件をモノクロ映像で描いたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督初期の作品。台詞が少ない静寂の中、モノクロームの映像が緊張感と深い印象を残します。

犯人は反フェミニズム思想により女性ばかりを狙い、14人を殺害した。

後で調べてみると、犯人は父親に虐待される経験を持つ25歳。「社会進出する女性は悪」と教えこまれ、モントリオール理工科大学の受験に失敗したのは女性が理工科系の学校を受けるせいだと歪んだ考えを持ち始める。
もし犯人が父から愛される人生を送っていたら、こんな事件は起きなかったのではないだろうか。

事件後、生き延びた被害者女性を追った映像が続く。夢を叶え就職するも事件のトラウマに苦しめられている。
「彼は(自殺によって)解放され、私は呪縛の中にいる」と彼女は言う。この先も深い心の傷は消えることはないのかと思うといたたまれない。

妊娠した彼女が最後に「女の子が生まれたら世界に羽ばたけと教える」という台詞に少しホッとしました。
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