ヒデ

ジ、エクストリーム、スキヤキのヒデのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「俺、洞口さんのこと許したわけじゃないからね。急に連絡してきてなんだよ」

フリーターの大川のもとに学生時代の友人の洞口が15年ぶりに現れ、彼らの同棲相手や元カノを連れて1日限りのドライブをする話。

軽妙な台詞回しが心地いい、エモさの塊みたいな映画。旅館で夜通しみんなで語り、残った二人で深いこと話してたら他の人も起きてて「言えよ〜w」みたいになるくだり、むちゃくちゃ好きだった。その後元カノに手を伸ばして拒絶されるシーンも。ラスト、すき焼きで盛り上がって「うぇ〜い!!」ってなるくだりも素敵。大人になってバラバラの人生を送る人たちが、もう一回大学時代の青春やってるような感じで、なんだかニヤニヤしながら見れてしまう。

しかし、冒頭の洞口の飛び降りシーンもそうだけど、彼らの元つるみ仲間・峰村の自殺や、楓の先天性の難病などによって、明るい物語の側では常に「死」の匂いが漂う。そしてそれが物語に独特な空気感を与えている。彼らが過去に置き去りにしていた暗い影が、予期せぬ4人の邂逅によってほぐれ、最後にはスキヤキと一緒に昇華されていく展開が見事だった。この4人を素直に応援したいと思える作品。


以下、セリフメモ。


「大川くん、それすき焼きじゃないよ。豚肉でしょ?」

「縁切った人と会っちゃったら縁切れてねぇじゃねぇか!」
「だから繋いだんだよ」

「弓ってさぁ、機内持ち込みできるかなぁ」

「俺考えたんだけどさ、取り戻したいんだよね、力を!」
「…それで仏像買ったの?」

「私…初めて海見たかも」
「初めて見たの!?」

「え、(弓)投げんの!?投げんの!?」

「人生みたいだ。一度っきりで、後戻りできない。でもそっちの方がいいだろ?二度と戻らない方がさ、美しいじゃん」

「俺のデボン紀は長かった。まだ終わってないよ」
ヒデ

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