空の落下地点

それでも、愛してるの空の落下地点のレビュー・感想・評価

それでも、愛してる(2009年製作の映画)
3.2
ビーバーは社会とウォルターとの間に立ってくれる存在だった。代弁者だった。責任も評価も全てを濾過してくれる存在。
息子のポーターは若者らしく、陳腐さを嫌っている。レポートを代筆しては、友人らに〈良い言葉〉という仮面をプレゼントする。父親の幼稚さから逆行するかのように。
ある日、密かに想いを寄せる女の子ノラから代筆を依頼された彼は、彼女の触れられたくない過去に触れてしまう。
喪失を経験した人は、世の中に溢れる陳腐さに救われている。ポーターの嫌うものは皆が必要とするもの。
誰から言われたいか、ノラから言われたいんだ。「みんな独りじゃない」と、ノラから言われてやっと信じられた。青春時代って、陳腐さのプールに浸かるまでの過程だ。そしてそれはそんなに、悪くない。

トラウマは遺伝する、というエビデンスがある。DNAメチル化といって、経験によって獲得した性質が未来の子どもに遺伝するのだという。
これを悲劇と捉えることも出来るけど、先祖と繋がっている、独りじゃないという希望に転換することも可能だ。ウォルターとポーターは同じだと認めることによって結束を得た。
自分が幸せで生きることが何の為かっていうと、未来の子どもの為なんだね。私は産まないけど。メチル化し放題👿🎉
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