Omizu

カルテットのOmizuのレビュー・感想・評価

カルテット(1981年製作の映画)
3.7
【第34回カンヌ映画祭 女優賞】
『日の名残り』『ハワーズ・エンド』などのジェームズ・アイヴォリー監督作品。イザベル・アジャーニは本作でカンヌ映画祭女優賞を受賞した。

イザベル・アジャーニ、というよりやはり本作で輝いているのはマギー・スミスだろう。彼女はもうエレガンスの極み、画面に登場するだけで上品になる。

残酷な愛の物語をジェームズ・アイヴォリーならではの上品さで包み込んだ作品で、パリで繰り広げられるこじれた愛の四重奏が語られる。

W不倫で愛し合う二人と、それを知りつつも不思議に男を支える妻、事実を知り女を捨てる男…

マギー・スミス演じるハイドラー夫人は駆け引きのようにその関係を眺める。しかしそこに『危険な関係』のような下世話さはない。あくまでも困ったように眺めるだけ。

1920年代のパリにいるとしか思えない美術や衣装が素晴らしく、一つ一つが絵画のよう。上品な演出でまとめ上げたアイヴォリーはやはり優れた作家だ。
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