Nasagi

フォンターナ広場 イタリアの陰謀のNasagiのレビュー・感想・評価

3.8
1969年12月にミラノで起きた〈フォンターナ広場爆破事件〉を扱った、むちゃくちゃ硬派な政治ドラマ

・背景
学生運動に触発された労働争議が空前のもりあがりを見せるなか、金融資本の象徴である全国農業銀行が爆破され、おおくの死傷者をだす惨事となった。
さいしょはアナーキストの犯行が疑われるも、捜査は難航。この事件と前後して、イタリアでは68年世代の熱狂が行きづまるとともに、極左・極右ともに過激化し、やがてテロがあいつぐ混迷の時代へ突入していく…
ようするに、時代を分かつきわめて象徴的な事件だった、ということなのだろう。


警察をはじめ、左翼アナーキスト、極右ネオ・ファシスト、軍警察、内務省情報局など色んなアクターが登場。ややこしくて2回は観ないとわからない!でもおもしろかった。
未解決事件だけあってスッキリとは終わらないものの、一応筋の通った解答は見出せるようになっている。

考えてみるとこの時代の南欧ってまだギリシャやスペインのような反共の独裁国家があったわけで、もし仮にこの事件が黒幕たちの目論み通りにいってたら、イタリアもこの波に飲まれてたのかもしれない笑
そんなきな臭い時代の雰囲気が作品にもよく出ていた。

いくつもの罠が重なることで真実が埋もれていってしまうというのは、このフェイクニュース全盛の時代にも考えさせられるものがあった。
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