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デタッチメント 優しい無関心のunkoのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

現在「戦場のピアニスト」リバイバル上映中のエイドリアン・ブロディが主演。日本未公開。
以前はアマプラで配信されていたみたいだけど、現在はDVDレンタルしかない模様。(2023/12/04)

荒れた高校に臨時講師としてやってきたヘンリー(エイドリアン・ブロディ)、距離を保ちながら生徒と接する。でも決して冷たくはない。
ある日、成り行きで路上生活の少女の面倒を見ることに。
様々なジレンマを抱えながら錯綜する人々をオムニバス風に映す。

デタッチメント、触れない。見守る。
無視とも違う、少し離れた状態からサポートする。
荒んだ学校なので、生徒による対応の違いも難しい。手厚く保護することがいいことだとは限らない。
いじられる個性のある生徒と路上生活の女性でよく表現されている。あちらを立てればこちらが立たず。
またアメリカでは学校区の理事会で教育長を選定し、その下に校長、教員がいる。
改革しようするモチベーションのあった校長、教員も、地価や生徒の質を絡めたお金でしか判断しない教育長やモンスターペアレントに糾弾され心が擦り減る。
親は子どもに対して過剰なアタッチメントを学校に求める。

2014年あたりから日本でも職場のメンタルヘルス意識が高まってきている。しかしこの作品では仕事から距離をとることでストレスや疲労からの回復をはかる心理的デタッチメントを確保できない人を映し出す。

97分という短時間。学区全体をデタッチメント(保護者と地域の皆が学校という場を通じて相互理解し、向上すること)できない顛末をストーリーで、美しいビジュアルで見せてくれる。

不覚にもあるシーンで琴線に触れ、涙が…。
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