Maoryu002

間諜X27のMaoryu002のレビュー・感想・評価

間諜X27(1931年製作の映画)
3.8
1915年のオーストリアで娼婦アニー(マレーネ・ディートリヒ)が軍の諜報部に雇われ「スパイX27」として活動を始める。彼女は目覚しい成果を上げるが、ロシアのスパイであるクラノウ大佐(ヴィクター・マクラグレン)と出会い恋愛感情を持ってしまう。

「嘆きの天使」「モロッコ」「上海特急」といった名作を生んだ、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督とマレーネ・ディートリヒのコンビによる作品だ。
女スパイの活躍と葛藤ということで、「レッド・スパロー」「アトミック・ブロンド」の先輩って感じかな。

とにかくデートリッヒの存在感が光る。映画はいきなり彼女の脚から始まるし。笑
スパイとしてさんざん汚い仕事をした彼女は、最後に愛を求めて彷徨った昔の姿に戻る。そして、銃口の前に立つ姿の凛々しさと、あの笑顔!圧巻だ。

愛のために生きることが、悲劇につながる戦争の虚しさが重く残った。

デートリッヒは「情婦」のときもビックリしたけど、七変化がお見事。
その相手役は西部劇のイメージしかないヴィクター・マクラグレン。クラノウ大佐は彼女の深い愛に気付いていたのだろうか。そこもまた、この物語の虚しさを際立たせる。
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