66年前の映画にして、作品が描いている人間のありようには今に通ずる普遍性がある。メディア界における帝王のような男。あったこともなかったことに、なかったこともあったことにやりたい放題。まさに権力の権化。
そんな権力者に阿って主人公の男があちこち奔走する様子を描く。
恩を売ったり、脅したり、出し抜いたり。それぞれの登場人物の思惑が一致したり交差したり。権力、プライド、抑圧することの快楽、傲慢さとそのエスカレーション。物語として行く末が見えずスリリング。どこか任侠映画的なものも感じる。
会話のひとつひとつが気が利いている。作り手の知性が随所で感じられるセリフの数々が楽しい。
夜のショット多数。はちきれんばかりの眩さのヘッドライトとネオンサインの光によって構成される豊潤な画面にうっとりさせられる。