ぱねぇ

鉄路の男のぱねぇのレビュー・感想・評価

鉄路の男(1957年製作の映画)
4.7
闇が広がる夜、走行中の列車に男が飛び込んだ。轢かれた男の正体は、その列車をかつて運転していた元老機関士だった。列車に轢かれて線路に横たわる彼の元へ駆けつける機関士たちは、そのすぐ側に立てられた信号灯を見て驚愕する。なんと、信号灯の灯が一つ消えていたのだ。もしこの信号に従って直進をしていたら列車は脱線し大惨事となっていた。
果たして、信号灯を消した人物は誰であるのか、またかつて会社から嫌われ者扱いをされていた老機関士はなぜ列車に飛び込んだのか、今、衝撃の真相が明かされる....

本作は、1955年から1963年に活躍した非公式の映画作家集団「ポーランド派」を代表する鬼才:アンジェイ・ムンク監督のデビュー作である。
ネットショッピングにてBlu-ray Discを購入し初めて鑑賞したが、めっちゃくちゃ感動した。

物語のストーリーは、列車事故の真相を3人の重要人物の視点から解き明かしていく。『羅生門』に似ているという意見を多く見たが、確かに言われてみれば似てると思った。あと事件の真相(真相が観客にしかわからない)は『市民ケーン』にも似ていると感じた。

めちゃくちゃ頑固で嫌なジジイが主人公なんだけど、本当は優しい人間であることがわかるシーンが散見される。しかし彼のそういった人間性を窺えるシーンもまた、劇中の他の登場人物には提示されない。

そしてラストシーンは本当に感動する。このラストシーンだけで最高の映画だとわかる。

少し高い値段で購入したが、大満足の傑作だったので、後悔は一切ない。
ぱねぇ

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