むっしゅたいやき

鉄路の男のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

鉄路の男(1957年製作の映画)
4.5
ヴァイダやハス、後にはポランスキーやキエシロフスキ、ザヌーシを輩出したウッチ映画大学出身にしてポーランド派の立役者、アンジェイ・ムンク監督作品。
本作は自動車事故で夭折したムンクが名を成した長編映画第一作となりますが、素晴らしい作品です。

ストーリー構成は他のレビュアー様も仰る通り芥川の『藪の中』や黒澤の『羅生門』と同様ですので、ネタバレ防止の為にも省きますが、折々に挟まれる機関車の疾走感、緊張感と相俟って中弛みせずに一気に観られました。

ヴァイダと異なりムンクは元ドキュメンタリー作家である為か、劇伴も無く、どこか乾いた筆致の作品ですが、これが労働者の目線や環境を描写する事に絶妙に合っていて、観客へ本作を『物語』では無く卑近な『話し』として印象付ける事に成功しています。

頑固で口下手、不器用であるが故に、他人から誤解されたり色眼鏡で見られる…、そんな人は誰しも身近にも居るのではないでしょうか。
老機関士が助手カップルに見せた、優しい笑顔が切なさを増す、人に薦めたい名作でした。
むっしゅたいやき

むっしゅたいやき