メル

愛さえあればのメルのレビュー・感想・評価

愛さえあれば(2012年製作の映画)
3.8
デンマークのスサンネ・ビア原案、監督。

彼女はストーリーの中にありとあらゆる「悲しみの種」を散りばめるの。
しかし今回は悲しみと言うより、ため息かも。

美容師のイーダは乳がん治療で乳房切除、髪は抜け落ちスキンヘッド状態。 後は術後の経過を診るだけ。

娘がイタリアで結婚式を挙げるので夫婦で出発するその前日、夫の浮気発覚! ドヒャ〜〜ッ!!

空港でバッタリ会った娘の結婚相手の父親フィリップ、これが又冷徹な仕事人間で嫌味な男。

式の参加者がそれぞれ南イタリアのフィリップの別荘に集まり、( 何と夫の浮気相手まで! )式までの数日間を過ごすことに。

今までの監督作品にしては珍しくほのぼのとした笑いも含まれていて、やるせなさで胸が苦しくなる事は無い。

南イタリアの輝く海と、香り漂うレモン畑と、抜ける様な青空が
少しずつイーダとフィリップの心を解放させて、見ているこちら側も自然と全てを受け入れられる気になる。

デンマーク語の原題は「丸坊主の美容師」という意味らしい。
英題は何となくビートルズの「All You Need is Love」を思い出してしまう。

主役のトリーネ・ディアホルムが何だか良い。
カツラがずれても、裸で泳いでも、心のしなやかさが良い。

フィリップ役のピアース・ブロスナンも、007のイメージは強いが、妻の死を乗り切れていない、繊細で一途で不器用な男を演じている。

パプリカ・スティーンは「しあわせな孤独」でも素晴らしかったが、今回も毒のある役を生き生きと演じている。拍手!

娘の結婚も気になるし…で登場人物皆んなが問題山積なのも面白い。
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