RIO

ホーリー・モーターズのRIOのレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
5.0
カラックスの夜の世界から
腕を掴まれた感じ

不思議な周波数

オスカーはSFの世界に
生きる人間として描いていると
カラックスは言っている

フィクションの世界から
「今ここで生きていることとは何?」と問いかける
破壊と再生「再び生きる必要性」超カッコ良い

自分であることの疲労 
自分自身を新たに作り出したい
この二つの相反する感情を
ベースにしている

どうしたらこの世に自分が生きているのかを感じられるかの実験
子供のように母に抱かれる時
ボロボロになって物乞いをする時
異性と交わる時
自ら投身して死に臨み 
その体が堕ちていく時間
9つのそれぞれの独立したシチュエーションは命を見定めるまでのひとつひとつの過程なのかもしれない
我々自身にフォーカスしたいとも言っていた
ある段階から別の段階へ移っていく
いつオスカーに戻るのかな…って何回か騙された

オープニング森の壁紙 
森の静寂
眠りから覚めた男がそこの扉を開くとシアターの観客たちが見える 
いかにも上品な演出
カラックス自身が出てきているのは成り行きで一緒に部屋に入って来た犬はカラックスの犬だそう

素晴らしいインスピレーションです
カラックスの心の中 
頭の中に閃いた絵から展開していく
瞬間的に煌めくものがあって
それがカラックスのいう
生きるという原動力なのかも

どうしてカラックスは魅力があるのか
とつくづく感じる映画
何ともベルベットみたいな肌ざわりのする良い感触を体感した
やっぱりキラキラスーツで男女が踊るシーンが好き
近未来的浮遊感と美しいフォルムと動き
ガラス窓の向こう側の少女
真夜中のサーモグラフィみたいなカット
もやられます

自分以外の者にはなれないという発狂
「死」がカラックスの映画には存在する

観終わった今考えるまた振り出しに戻る
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