「クロユリ団地には出るらしい」
二宮明日香は介護の専門学校に通っている。
団地には引っ越してきたばかりで、公園で一人遊ぶ少年・ミノルと出会った。ミノルは「お爺ちゃんがいるから寂しくない」と部屋を指差すのだが、そこから孤独死した老人の遺体が発見されて。明日香の周りで不思議な現象が起こりはじめた。
監督は『リング』の中田秀夫。
清掃員・笹原との出会いから引き込まれる。
序盤の退屈な学生パートのおかげで明日香に感情移入できた。
無難にまとまり、突き抜けたものはないが、台詞からは心霊現象への造詣の深さがうかがえる。
当時の流行へのアンチ発言だろうか、唯一、地縛霊の否定だけが気になった。
前田敦子と、子役の田中奏生の演技力が作品を支えている。とくに脚本は、前田敦子に当て書きされたかのようにフィットしていて、後味もよい。
前田敦子の映画への溶け込み具合が凄く。黒くよどんだ空気を醸し出す姿は本当にとり憑かれているかのよう。クリエーター人気の高さもうなずける。
同じく、幽霊を迎え入れる話しとして、中島 哲也監督の『来る』を彷彿させる。
ながら用にアイドル映画が欲しくて飛びついたのだが、想像していたより好みの作品で満足。
