Tully

真夏の方程式のTullyのレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
5.0
少年と学者の夏休みの出来事。「理科は嫌いで役立つことはないのに勉強しなくてはいけないの?」 という、少年の言葉に湯川先生が上手くその答えを導きだす。あのバックトゥザフューチャーのマーティとドクの関係のように変人との付き合いは、楽しさや大人びた偏屈さだけではなく、人間としての本質をついて大人とは子供が思っているほど不信に抱くものではないと、湯川式論理法が繰り広げられる。見たことない方程式が、ズラズラと記されていたら何も考えずに放棄するだろう。でも理科嫌いな少年でさえ 「博士」 が繰り返しやってみせる実験を目にし手伝うことで、科学という興味を持ち始め、何度も何度も失敗し、恐れず少しずつ修正し成功へ達した時のこの上ない感動は、それが何時しか自分の困難を乗り越える為の理論であると解る。子供嫌いな湯川先生が、なぜこの少年にはアレルギー反応しなかったのか。恭平自身が非論理的な行動に疑問を持っているということ。それはつまり湯川学自身に類似していたということから、この二人の関係と絆は深くなっていく。かつて冷静な湯川先生が心情を現わにし、物理学者という位置なのに探偵役的になってしまう。この出来事を観た者は、少年と共に色々な事を学び必ず答えのある問題を解いていける。それはすぐに導きだせるとは限らない問題を。湯川先生と一緒に考え、悩み続けていける素晴らしい作品だと思う。
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