Mia

そして父になるのMiaのネタバレレビュー・内容・結末

そして父になる(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

6年間育てた息子は、看護師によって故意に取り違えられ子ども。
取り違えた看護師が所属する病院側が最後まで上から目線で他人事で、発言の一言一言がイライラする。それはマニュアル通り動く、個々の細かな例外や感情は排除する存在として描かれていて、少々極端には感じるが「ま、中央権力ってこんなだよね…」と思わされるし、「組織はそうしないと機能しなくなるのかな?」とも考えさせられる。

子どもは環境で育ち、育てられる。
2つの家族が対称的に設定されていたのも、血縁か育ての縁かの葛藤をわかりやすく描いていておもしろい。血縁ではなかろうと、個々の性格はあれど、環境はやはり大きい。何をやったら叱られ、褒められるか。どんな時に親は喜び、笑い、怒り、悲しむのかは十人十色で、子どもはしっかりそれをみて育つ。
いきなりそれまでの環境は違うものだ、って言われて順応しろって言われても、子どもも親もそんな簡単に割り切れないよね。

対称すぎて不和が起こっていた両家族も、最後にはなんとなく、緩やかに、纏まっていく。どっちがどっちの親か(子か)を、明確に述べない終わり方は個人的にすき。
どっちもその親で、その子である、と言っているようだった。
家族概念を強く規定している血縁は、たしかに家族を強く結びつけうるものでもあるが、時にはそれが弊害や辛くなるものとして働きうることも頭に留め置いておきたい。
親子関係だけでなく、夫婦の関係、社会の「家族」の考え方、子ども目線からの親など、いろいろな視点から観るのもおもしろい。
自分が親になったときに、もう一回観たいな。


「もう、ミッションなんて終わりだ。」

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