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そして父になるの砂場のレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
3.9
久しぶりに見た、
血が繋がっているのが家族なのか、血が繋がってなくても家族なのかについて考えさせられる
福山雅治のうち、リリーフランキーのうちは子供取り違え、そして福山の母親も継母である。取り違え犯の看護師も継母
そんな中で血が繋がってなくても家族は家族だよの方向に価値観を持っていくように構成されている。看護師の息子(連れ子)が継母を守る場面はじんわりきた。看護師の夫ピエール瀧は一言も喋らないけども裁判所で妻を見守る顔もよかった

血のつながりという意味では『誰も知らない』は実の母が「そして母をやめる」話。そんで本作は血が繋がってないけど「そして父になる」話だった
福山父はエリート勝ち組設定なのだけど演技含めちょっと典型的すぎる気がした。どう考えてもリリー家の方が楽しそうだ。リリーフランキーが一瞬で樹木希林の心を掴むのが面白い。意外に真実を知った瞬間では母は泣かない、夫婦間のいざこざもあるけどそこまで激しいバトルではないので淡々とした印象。

『誰も知らない』の迫力には及ばないな。あれは完全に子供視点で撮られているのでその辛みが体験できるような作品だった。本作は福山父視点なのかな、、、ちょっと内面の変化がわかりにくかった。福山が変化する前と後でどっちも福山雅治なので、本人のイメージが強すぎるのか、、戦いごっこで息子がおもちゃの銃で攻撃してきて福山父がギターを銃のように応戦する場面では、うわ〜福山雅治だわ〜と思ってしまった笑

自分の母が継母だったことは明かされるけどここまで血にこだわる気持ちはもうちょっと知りたかったな。
取り違えが分かった時、「やっぱりそうか」みたいなことを福山が言って尾野真千子妻が一生忘れないという場面は一番印象的だった。確かにあれは言っちゃいかんよな、思わず口に出てしまったのか色々符合したのか。裁判で被告側弁護士に尾野真千子妻が詰められる場面はかわいそうだった。一般にはお腹を痛めた子という言い方はあるけどお腹を痛めてなくても母は腹が据わっている。妻視点で作ったらどうなっただろうか、あるいは看護師視点だったら。

全体的には福山雅治が福山雅治すぎてノイズになってしまうのが残念であるが、丁寧に淡々と家族像を描くところはとても良かった
(もしこれで主題歌福山雅治だったら福山雅治以外何も印象に残らなかっただろう)
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