トールキン

愛してる、愛してないのトールキンのレビュー・感想・評価

愛してる、愛してない(2011年製作の映画)
3.5
離婚を迎えたある夫婦の話。夫は写真家、妻は編集者として共に仕事で成功を収めている夫婦だが、妻の方から別れを切り出される。雨が降る引っ越し当日、妻は荷造りをし、それを見つめる夫。そんな時一匹の子猫が迷い込んでくる。

評価が低くて全然期待してなかったけど個人的にはなかなか心に響いた。場面は家の中のみ、場面の移り変わりも台詞もほぼなく終始静かで仄暗い感じ。見る人に寄れば眠くなること間違いない。逆に言うとこの夫婦の虚ろな表情や何気ない台詞、そこから読み取れる心情などがストレートに心に痛いほど伝わってくる。そして外で降りしきる雨、窓から映る雨、地面や窓に響く雨音、これらが何とも言えない良い演出になっている。

かつては愛し合って結婚した二人。愛情のつもりだった優しさがいつからか苦痛や迷惑に変わっていった。こんなにも美男美女の夫婦なに、いつからか気持ちがすれ違うようになっていき別れに発展する。何とも切ないことだが、これも世の常なのかと思うと人生綺麗事だけでは生きていけない。

夫が、言葉では大丈夫だよ、と言うけど全然大丈夫じゃない所やまだ愛してるから出ていかないでくれ、と心で訴えようとしている場面は特に心打たれる。この夫の気持ちがすごい分かるから尚更のこと。 自分は独身だから客観的でしかモノを言えないが、より良い夫婦関係を築くためには?過ぎた事を考えてももう遅い。そうならないために?と少し考えさせてくれる作品。
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